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【社長コラム】国破れて 山河あり

2019年2月13日
【社長コラム】国破れて 山河あり

自分の自宅兼会社は、行田市の中心商店街にある。
何年か前には、隣にモスバーガーが店舗を構えていて
続いてお茶屋、時計屋、皮膚科、肉屋、呉服店、印刷所と並んでいた。
もう片方の隣はと市内でも評判の団子屋だ。
そして小さいスナックがあって園芸店、書店、洋食屋、歯医者、煎餅屋、荒物屋、呉服店と連なっていた。
向いの3階建てのビルには、文房具店、洋品店、ゲームコーナーを有した雑貨店が入っていた。
ビルの隣には金物店があり、仕事熱心な店主はときどきチラシを新聞に折り込んでいた。
さらに向いには洋品店、八百屋、玩具店が並び、玩具店の角を曲がると美容室、スポーツ店。
道路を挟んでインテリア店、薬局、煎餅店・・・と続く。
商店街の歩道の頭上にはアーケードが被されていた。雨の日も買物をできるように・・・。
天井からは“ゆうせん”のBGMが1日中、明るく奏でられていて
毎日たくさんの人が歩道を歩いていた。
とくに「8」のつく日は「あらやす市」と称して、全ての店で1割引きで買い物ができた。
商店街の道は北へまっすぐ延びて駅へぶつかる。
駅へ向かう手前、国道が交わる交差点を中心に東西南北に渡って、さらに様々な商店が軒を並べていた。
それが幼少のころの行田市の中心商店街の姿だった。
時が過ぎ、今や商店街には、ここに記載した店のほとんどが閉店してしまった。
アーケード街にはほとんど歩く人もなく
時々車が通りすぎるだけの幹線道路になってしまった。
最近、轟音が聞こえてくるが
それは近くのデパートのビルを解体する工事である。
そして今日、目の前の文房具屋さんの入るビルにも、工事関係者らしき人はたくさん集まっていた。
実はお店をたたみ、ビルを解体するらしい。
そのとき偶然、隣を見ると、団子屋の家族が店内から什器を運びだしていた。
時を同じくして団子屋さんも廃業するという。
まるで戦争か災害でも起こっているかのように、
次々と店が閉店し、人が減っていく。
そう思うと有名な杜甫の叙事詩が聞こえてくる。
国破れて 山河在り/街は戦乱で破壊され 山河だけがのこった
城春にして 草木深し/家の周りには草木が繁って 人影すらない
時に感じては 花にも涙をそそぎ/このいたましい時世に感じ、花を見ても涙が流れる
別れを恨んでは 鳥にも心を驚かす/別ればかりで気が滅入り、近くの鳥が飛び立つだけで怯えてしまう
この街は、自分の故郷はどうなってしまうのか。
かつて活気のある商店街を知っているだけに寂しく思うのである。

株式会社ヨコカワ 横川英士
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樹木葬墓苑ファミール


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