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【社長ブログ】火葬場の火をプロメテウスは盗むことはできるのか
東京の葬儀業界がザワついている。
23区の火葬場会社が外資傘下になり方針が変わったからだ。
東京23区の火葬場独占企業が中国資本参加に…デイリー新潮
地方では火葬場は市町村または第3セクターが管理運営しているのが多いのだが、都内は民間企業にほぼ独占的に担われていた。
そして火葬業者と葬儀業者のすみ分けが暗黙のうちにできていたのだが、外資に変わり火葬場会社自ら葬儀を請負うようになったという。
つまりこれまで「〇〇斎場で火葬(葬儀)をやりたいな」と思って連絡しても「当斎場では葬儀を請賜わっておりませんので最寄りの葬儀社へ連絡して下さい」だったのに、「はい、かしこまりました!当社の係員をそちらへ向かわせます!」ということになるわけだ。
これでは葬儀社に葬儀の依頼が回ってこない。
このことは既に業界では耳に入っていたが、新潮の記事に地元の葬儀社が「月3,000万万円の売上がゼロになった」と嘆いているのを読んで、そこまで影響がでていたら都内の中小零細の葬儀社にとっては死活問題になっているじゃないかと気の毒に思った。
さらに葬祭業者だけはなく、東京区民への影響もでているようだ。これは外資だからということはないだろうけれど、火葬料金が値上げってしまったらしい。このことは世田谷の葬儀社の佐藤葬祭さんが月刊誌「正論」11月号で憤激まじりで綴っている。
ただ翻ってみれば、火葬業会社も営利を目的に運営されているわけだから、燃料費高騰による値上げも止むえないだろうし、
事業の拡大として葬儀の請負に着手するのも経営としてはごく自然なことのような気がする。
葬儀社がこれまで外注していたお花やギフトを自社で内製化するのと同じだ。
むしろ外側にいる我々からすれば、これまで民間業者1社へに独占的に委ねていたことに危険性があったのではないかと思う。
いつ何時、独占企業が方針を変えるのか時間の問題だったのではないか。
むしろそれを予想し、事態に備えて戦略をねっておくのが経営者の役割ではなかったのか。
地方ではこれから民間の火葬業者が台頭してくることはないだろうけれど、
葬儀業界のピークアウトは以外に早くやってくることが予想される。
死亡者数のピークが都内より早いので需要のしりすぼみがすでに見えているだ。
都内の火葬場事情、そして地方の死亡者数のピークアウトを考えるとき、ある古人の言葉を思いおこす。
愚者は成事(せいじ)に暗く、智者は未萌(みほう)に見る
鈍い者は今そこにあるもにも気づかず、賢い者は、まだ芽の出ていないときでも察する・・・という「先見の明」を伝えたものだ。
ギリシャ神話でもプロメテウス(先に考える人の意)とエピメテウス(後で考える人の意)の兄弟の対比があるが、
社員を養い、地域で長く事業を続けていく会社の経営者であるならば、ぜひとも前者でありたいと願うものだ。
コトがなってしまってからジダバタしても自分の領域以外ではどうすることもできないからね。